• 地盤情報特集

家を建てる前に!液状化簡易判定

2011年12月2日、機械振興会館(東京都港区)にて開催された、
地盤審査補償事業主催の地盤液状化セミナーの概要です。

2011年11月30日

NPO住宅地盤品質協会 橋本光則氏による
地盤の液状化に関するセミナー

2011年12月2日、機械振興会館(東京都港区)にて、住品協保証事業(開催当時:現株式会社地盤審査補償事業)の地盤液状化セミナーが開催されました。

協賛を頂いたNPO住宅地盤品質協会より橋本光則氏をお招きし、講演を頂きました。NPO住宅地盤品質協会は、住宅地盤に関わる事故例等を調査研究し出版している他、全国の会場で住宅地盤に関わるセミナー等を開催しています。また、住宅地盤業務に関わる技術者育成のため、資格認定制度を運営しており、住宅地盤の品質の向上と地盤技術の発展を目的として活動しています。

液状化を判定する3つの要素とその試験方法

液状化の判定には、①地盤のN値 ②細粒分含有率 ③地下水位 の3つを知る必要があり、それぞれ以下のような試験方法があります。

  1. 地盤のN値…ボーリング調査・スウェーデン式サウンディング試験(以下SWS試験)
  2. 細粒分含有率…ボーリング調査・SWS試験、細粒分含有率試験
  3. 地下水位…ボーリング調査・SWS試験

住宅での液状化判定が普及しなかった原因として、国土交通省の告示1113号にて、中規模建築では義務化がされているが小規模建築では義務化されているのか曖昧になっていること、また、液状化についての規定の契機となった阪神大震災以来、徐々に関心が低下してしまったこと、ボーリング調査の費用捻出が難しいこと、住宅に適した安価な液状化対策が存在しないこと、などが挙げられます。そこで、NPO住宅地盤品質協会では、SWS試験の範囲で、住宅向きの費用で根拠のある判定方法を作成しました。
判定法は、A,B,C法に分けられ、下記のように分類されます。

 A法  B法  C法
試料採取 必要 なし 必要
追加項目 地下水位の測定 砂質土の細粒分含有量試験(1か所) 地下水位の測定あるいは推定 地下水位細粒分含有量試験 (地下水位以下5mまで)

 

判定方法  微地形区分、資料調査、地下水位、細粒分含有率 5mまでの非液状化層と液状化層の厚さによる 換算N値、細粒分含有率から液状化指数を求める。
判定の精度  簡易な液状化の可能性判定  簡易な液状化の影響判定  簡易な液状化の危険度判定
SWS調査費用
(日数)
 プラス数万円 3~5日 通常費用程度 通常日数 プラス5万円~ 3~5日

また、SWS試験ボーリング調査の他、三成分コーン貫入試験(CPT試験)についても説明が有りました。CPT試験は、SWS試験とボーリング調査との間の試験方法であり、ボーリング調査よりも安価に地盤の支持力・液状化を調べることができます。深度1cmごとに先端抵抗・周辺摩擦・間隙水圧を計測することができ、地盤の総合判定に活用できます。

地盤補強工事

では、液状化の対策としては何が考えられるのでしょうか。住宅地盤の液状化対策には、地盤補強工事が有効であると思われます。地盤補強工事には、液状化層の下部で支える方法と、液状化層そのものを改良する方法があります。下部から支える工事とは、柱状改良や鋼管等の支持杭を住宅の基礎下から液状化の危険がない地盤まで設置する工事です。また、液状化層そのものを改良する工事としては、表層改良や注入、柱状改良などで地盤を固める工事が挙げられます。NPO住宅地盤品質協会が会員地盤業者向けに行った調査では、柱状改良・鋼管杭による地盤補強工事が、液状化に効果があったという回答が多くなりました。(下図参考)

 

橋本 光則(ハシモト ミツノリ)

ジオコン 代表
元NPO住宅地盤品質協会地盤評価小委員会委員長
同東北地方太平洋沖地震宅地調査委員会委員長

主な著書(編著)に
強い住宅地盤-住宅基礎地盤の失敗例に学ぶ-
総合土木研究所