- 地盤の基礎知識
構造材にダメージを与える不同沈下
沈下の問題点である、進行の遅さについて解説。
徐々に進む沈下は1〜2年で顕在化し、通常5〜6年、長い場合は10年以上続きます。
沈下には二通りの沈下があります。
建物が水平なまま沈んでいく沈下、「均等沈下」と呼ぶ沈下があり、さらにそれとは別に建物が斜めに傾いていく沈下、「不同沈下」と呼ぶ沈下があります。
均等沈下のほうは建物への影響をあまり過大視しなくてもいいと思いますが、不同沈下は建物に大きな支障をもたらすため、建物にとって大敵となる沈下です。
不同沈下がなぜいけないのか?
不同沈下がなぜいけないかという理由は、基礎が水平を保持できなくなることで、荷重の流れがきれいに分散せずに偏りが出るようになるからです。
一部分の部材だけに荷重が伝達され、本来分担するはずだった限度以上の過度な荷重が梁や柱にかかれば、その部材には圧縮や引っ張りが働いてゆがみや変形が生じます。主要な構造材は正方形や長方形を構成するように互いに直交して緊結されますが、不同沈下によって不整形な四辺形となり、その部材に取り付いている壁や開口などの二次部材までもが連鎖反応を起こしてゆがんでしまうことになります。これが均等沈下であれば、どこにも無理な力がかからないので、建物は健全なままに存在することになります。